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『パンツダ。』の感想

林田力2009/11/18
著者:k.m.p. ムラマツエリコ、なかがわみどり<br>
出版社:タイトル株式会社<br>
定価:1100円+税<br>
発行日:2009年9月13日
著者:k.m.p. ムラマツエリコ、なかがわみどり
出版社:タイトル株式会社
定価:1100円+税
発行日:2009年9月13日
 本書は、赤いパンツを履いたパンダのキャラクター「パンツダ」を主人公とした4コマ漫画である。パンダと言っても、パンツを履いていることから理解できるとおり、擬人化されており、二足歩行で人間と同じような行動をする。このパンツダのユーモラスな行動を本書では描く。

 本書は一風変わった4コマ漫画である。王道的な4コマ漫画と比べた特徴を2点指摘する。

 第1に明確なオチがない。一般的な4コマ漫画の構成は起承転結であり、最後にオチが来る。これに対して本書はオチが不明確である。たとえば坂を上がって、下を見下ろし、ダッシュで下りて、また上るという漫画がある(20ページ)。文章で説明すると「だから何なの」となるが、のどかな展開に癒される。

 第2に登場人物は基本的にパンツダだけであり、会話が全くない。「サザエさん」にしろ、「コボちゃん」にしろ、「ののちゃん」にしろ、家庭や学校、会社の人間関係が話題になっている。それに対して本書は、ひたすらパンツダの他愛もない行動が描かれる。読者はパンツダの行動から意図を解釈しなければならず、その点が前述のオチの不明確さにもつながる。

 パンツダは「ひとりあそびの天才」である(帯より)。その行動は子どもが好奇心の赴くままに自分の身体や周囲の物で遊ぶ姿に重なる。たとえばティッシュペーパーを顔にかぶせて息で吹き上げ(27ページ)、電灯から垂れ下がった紐をヘディングする(38ページ)。これらの遊びを実際に子ども時代に行った人も少なくないだろう。

 また、パンツダは傘を引っくり返して、その中に自分が乗っかって船のようにしている(30ページ)。人間の重さから物理的には不可能であるが、子ども心にやってみたいと思ったことはある。子ども時代の純真さを思い出させる点が本書の魅力である。

 消費経済では子ども向けの玩具も商品として消費される対象である。玩具メーカーは子どもが欲しがるような玩具を次々と発売する。そのような玩具は遊び方も決まっており、それに従って子ども達は遊ぶことになる。それに比べるとパンツダの「ひとりあそび」は自由である。お仕着せの玩具よりも、身近な環境での「ひとりあそび」によって子どもの想像力が伸びると感じられた1冊である。

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