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「素人の乱」の松本哉さんにインタビュー

姜咲知子2008/10/01
『貧乏人の逆襲』『素人の乱』の著者、松本哉さんは、リサイクルショップを経営しつつ、世の中の矛盾に対して「騒ぎ」を起こし、地域や仲間で助け合うことで貧乏人が死なない社会を作ろうとしている。松本さんと話していると、「おかしいぞ」って思ったら騒げ、そんな気持ちになってくる。
東京 NA NA

<center>東京都高円寺の「素人の乱5号店」前で(筆者撮影)</center>
東京都高円寺の「素人の乱5号店」前で(筆者撮影)
 1996年結成の「法政の貧乏くささを守る会」から始まり、感性のままに勝手に反乱を起こしてきた松本哉(まつもと・はじめ)さんが、貧乏人が自由に生きるための指南書を出してしまった。

 現在松本さんは東京・杉並の高円寺で「素人の乱」というリサイクルショップを経営しつつ、世の中の矛盾に対して「騒ぎ」を起こし、地域や仲間で助け合うことで貧乏人が死なない社会を作ろうとしている。お店の近所の喫茶店で、本を出すことになった経緯などについてインタビューした。


 ―松本さんが定義する「貧乏人」は?

 最初に「貧乏」って使い始めたのは大学時代です。
 大学がすごくきれいになっていくのはいけすかない。きれいになっていくだけならいいけど、どんどんきゅうくつになっていく。それなら貧乏くさくてもいいやと思い、そういうところから使い始めました。

 でも今は、あの時の貧乏とはちょっと変わってて、日本中全員貧乏人みたいなものだと思ってます。いわゆる格差社会の下の方だけが貧乏というわけじゃなく、成り上がって、がんばって上の方にいってるやつが、精神的に病んで疲弊しまくってる。働いてお金をたくさん稼いでも、結局はたくさん使うだけ。

 あれ、これって貧乏人と一緒じゃないの? ほとんどの人が貧乏人みたいな生活している。そう思いました。一部の相当に悪いやつを除いて、みんな貧乏人。だから、貧乏人は反乱して(笑)自分たちの世の中を作っていかないとって思っています。

 今のきゅうくつな世の中ってろくでもなくて、やっちゃいけないことを初めから規制されていることが気に食わない。良いこと悪いことを自分たちで判断していく機会がなくなっている世の中はひどいものですよ。

 「素人の乱」(リサイクルショップとしての「素人の乱」ではなく、ムーブメントとしての「素人の乱」)は、みんなが好き勝手やってるんです。みんなが好き勝手やるなかで、やっちゃいけないことが決まっていくのがいいですね。

著者:松本哉<br>
出版社:筑摩書房<br>
定価:1200円+税
著者:松本哉
出版社:筑摩書房
定価:1200円+税
―本を出すことになった経緯

 きっかけは筑摩書房の人が声をかけてくれたことですが、2006年に杉並区議会選に出て、テレビに出たりと、ちょっとだけですが話題になって、その流れで声がかかったんですね。

 でも僕は本当に本を書くとか全然得意じゃなくて、しかも実は3、4年前にも別の出版社から書かないかって話があったんだけど、すっぽかしたことがあって(笑)。3分の1ぐらい書いたところで、めんどくさくなって止めちゃったんですよ。それがあるから、「無理、無理!」って言ったんですけど、押し切られて。そしたら毎日編集の人が通ってきました。(笑)

 ―本に込めた思いとは?

 僕はいろんな奴をけしかけたほうがいいと思ってて、みんなが委縮しているし、打って出られない世の中だから、普段からちょとでもやりたいことがあるっていう人に会ったら、「あー、それいいな。やったらいいよ」って言ってるんですね。だからこの本は実用書なんです。

 しかも、人と直接会うコミュニケーションには限界があるけど、本は広がりがあると思って。あとネットとは違って物理的なものとして本があると、この人からこの人に渡って、あの人に薦められた……みたいな顔がつながる形で広がっていくし、実際のコミュニケーションに近い感じがします。「騒ぎを起こしたらいいよ!」なんていう本があったら面白いかな、って。

 やりたくない人はやらなくていいんだけど、あきらめが世の中には多いと思って。やりたいんだけど「できないんだ」って思いこんでる人にはぜひ読んでもらいたいね。野宿もヒッチハイクも、“やっていいんだ! できるんだ!”って思ってもらえたらいいですね。

 ―読者からの反応は?

 反応すごくありますよ。これがいいんですねー。メールをくれる人もいるけど、直接来る人がやたら多くて。仕事しているときとかちょっと困りますけどね(笑)。こっちは売り物の洗濯機とか掃除しているのに、“本、読みましたよ!”ってやたら高いテンションで来て。でも、うれしいですけどね。1日1回はそんな人が来ますよ。夜の方が暇なんで、夜来てほしいですね。

2008年7月12日に行った高円寺でのデモの様子(撮影:山口朝)
2008年7月12日に行った高円寺でのデモの様子(撮影:山口朝)
 ―夏は西日本ツアーをしたそうですね

 愛媛県の松山で「素人の乱」の映画上映会に呼ばれて、どうせあっちの方いくなら、と西日本方面に声をかけて、回ってきました。

 たとえば大都市圏には、変なことをやっていたり普通じゃない生き方をのびのびしている人がいる。地方の町だと道を外れている人はそんなにいなくて、近所の人から白い目でみられるみたい。それでもイベントをやると、たくさん集まってくれたのが面白かったです。

 奈良と大阪ではデモをやってきました。すごく盛り上がって。大阪のデモなんて気が狂ってましたよ。要求事項が特にないから、「のびのびするぞデモ」って(笑)。トラックの横断幕にはでっかく「ひまじん」って書いてあって、「やれやれ、ひまじん」「のびのびデモ」って。荷台には音響が載ってて、2つくらいバンドが演奏して、新世界から心斎橋の方に歩いて、最後はアメ村に入っていくコースでした。めちゃくちゃ注目浴びて、人数も増えて、いやー、大阪はすごかったね。

 ―今後「祭り」をやる予定は?

 具体的にはまだ決まってないけど、長野とか北陸のほうで映画上映やろうって声があるので、そっちのほうにまとめて行くかもしれないです。基本的に突然、「よし! 週末デモやろう!」って決まるんで(笑)

 ◇

 実はお会いするのは2度目。前回も感じたけど、松本さんと話していると、理屈なんかなくても「おかしいぞ」って思ったら騒いだ方がいい、そんな気持ちになってくる。そして、今の世の中、大きなシステムの中で当たり前だと思わされること、しょうがないと思わされていることがどれほど多いのか、ということに気付かされる。

 「消費税、上がってもしょうがない」
 「ガソリン値上がりもしょうがない」
 「投票率が低いのは当たり前」
 「契約社員の待遇が悪くても当たり前」

 ちょっと立ち止まって考えてみたい。
 そして、「それって、おかしいんじゃないの?」と思ったら……。

 一揆だ、一揆だ!!

◇ ◇ ◇

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