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『「共生」の内実』を読んで

遠藤美貴2006/11/14
「共生」というあいまいで、ぼんやりした、しかし「善」をイメージする言葉を「言語」「ことば」「多文化」「マイノリティ」「差別」などの視点から、その「内実」に迫る。
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著者:植田晃次、山下仁<br>
出版社:三元社<br>
定価:2500円+税
著者:植田晃次、山下仁
出版社:三元社
定価:2500円+税
 「共生」というあいまいで、ぼんやりした、しかし「善」をイメージする言葉を「言語」「ことば」「多文化」「マイノリティ」「差別」などの視点から、その「内実」に迫る。

 社会福祉の領域に身をおく筆者はこれまで、どのような社会になることが「共生」なのか、「共生」社会にするために何をすればいいのかということを考えてきた。しかし、そもそも「共生」という言葉に付与されている「善のイメージ」や、そのイメージによって隠されたイデオロギー性・政治性の危険性を考えることなく、「共生」を「よし」としてきたことに気づかされた。

 さらに「共生の内実」に目をむける時「共生とはなにか」、ということをマジョリティー(多数派)とマイノリティー(少数派)の両者が向かい合って考えることが述べられていた。まさにそこから「共生」が始まるのではないか、という問いかけでもあるだろう。

 自分たちがあまり知らない人や国・文化を知り、「共生」に向け動いていくには、まず「出会うこと」から始まる。それは個人レベルのものであり、大きな動きにはならないかもしれないが、個人的な結びつきやつながりは、国の制度や法律、サービスで補いきれないものを補足してくれる。

 一方で、国レベルでの取り組みも大事であり、まずは明確な政策スタンスをもつことから始まるのであろう。その際、マジョリティーだけがその方向性を考え出すのではなく、マイノリティーを交えて、マイノリティーの声をもとに考えていくことは欠かせない。このような過程からすでに「共生」は始まっているのだ、ということが読み取れた。

 言葉に付与されたイメージを疑うことなく、また「共生の内実」に目を向けることもなく、「共生」をマジョリティーの立場からマイノリティーに押し付けてきただけである、という筆者の傲慢さを衝いてくる内容であった。

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