著者:近藤伸二
出版社:凱風社
定価:1800円+税
本書は、台湾経済と台湾・中国の関係を的確に綴った良書です。私達日本人にとって台湾は極めて身近な存在でありながら、いまいち捉え所のない存在でもありす。
そもそも「台湾」って何なのでしょうか?本書によりますと、台湾には大きく分けて4つのグループがいます。時間順で言いますと、台湾に最も早く定住したマレー・ポリネシア系(台湾人口の約2%)、次いで福建省から台湾に移住して来たホーロー系漢民族(台湾人口の約70%)、3番目に来たのは中国の南部に住む漢民族の部族である客家系(台湾人口の約15%)、そして国共内戦で敗れた蒋介石が率いる国民党軍と共に台湾に移住してきた外省人(台湾人口の約13%)です。
つまり、台湾の全人口の98%が中国大陸から来た人で、尚且つ中国語を喋るわけですから、中国人なのか台湾人なのかというのは難しいテーマです。実際、台湾人に対して行ったアンケート結果を見ると、約40%の台湾住民が「自分は中国人であり、台湾人でもある」と答えています。この辺りからも中国と台湾の間を揺れ動く難しい心情を忖度できます。
一方、私達日本人にとって台湾は何者なのでしょう?これはもっと難しい問題です。中国が台湾を独立した国家として認めていません。中国との関係上、日本政府も公式では台湾を中国の一部地域として扱っています。にもかかわらず、実際は台湾を国家として扱っています。これは日本にとって本当に悩ましい懸案です。
いずれにせよ、日本にとって一番いいのは、中国と台湾が戦争しないことです。私も平和裏に中台関係が進展することを願っています。
最後に台湾経済について1つ気になることがあります。「製造業の価値は段々低くなっている。次の競争はソフトとサービスだ」と語る、エイサー創業者の施振栄さん。IT、バイオ、コンテンツなどが台湾経済未来のキーワードになりそうです。
台湾を知りたいと思う人にはお薦めの本です。秋の夜長にぜひ読んでみては如何ですか?