今週の本棚(書評)
話題の新刊、実用書やコミック、硬派な社会問題ルポルタージュなど、
幅広い本の書評・感想が読める本のサイト
新URL>>>http://www.janjannews.jp/
TOP 新刊紹介 書評 インタービュー 本のニュース


書評・ブックレビュー
トップ > 書評・ブックレビュー > 書評 『新たな思想は創れるか』

書評 『新たな思想は創れるか』

横山太郎2005/01/23
私は「まっ、しょうがなくねェ?」と言わないことを決めた。「われわれには沈黙することも、絶望することを赦されない」のだから。今、あの友人に薦めたい本である。
NA NA NA

筆者:新崎盛暉<br> 
出版社:凱風社<br> 
定価:2200円+税<br>
筆者:新崎盛暉
出版社:凱風社
定価:2200円+税
 「まっ、しょうがなくねェ?」という口癖の友人がいる。学生時代、国際情勢や日本国内の問題について議論していると、その友人は決まって、「まっ、しょうがなくねェ?」と言う。なぜ一言で簡単に済ませるのか。様々な問題について自分の頭で考えることを止めてしまったのか、私には理解することができなかった。

 2003年、イラク戦争開戦が不可避という状況になりつつあるなかで、世界的に広まった反戦運動。私は世界的に連帯しつつあった反戦運動の輪に加わることで、戦争反対を訴えた。それは、私が今できることとは何か、を考えた上での行動であった。

 しかし、その運動を無視するかのごとく戦争は始まった。テレビを通して映し出されるイラク戦争を見て、私は一体何をしてきたのだろうと思い、無力感に襲われたことを覚えている。

 それから私は、「まっ、しょうがなくない?」と話すことが多くなった。「まっ、しょうがなくねェ?」は、自分の持つ力の可能性を信じることが出来なくなった、その裏返しではないかと思う。

 考えてみると、2001年から2003年の僅か3年の間に、国際情勢及び日本の状況はめまぐるしく展開した。9・11テロ事件、アフガン攻撃、イラク戦争……。これから日本を含め、世界はどこに向かって進むのか。

 本書はこの期間において、様々なメディアを通して発表した著者の評論集である。特徴を二点挙げるならば、その一点目は、「民衆運動」の持つ力と、その可能性である。民衆運動を構成するのは私たち一般の市民であり、その一人ひとりが持ちうる力は、世界をも変革できる可能性があることを、確信を持って述べている。

 その確信は一市民である著者自身の活動の原動力になっており、それは著者が描いている世界とは逆の状況になりつつあっても、決して悲観することなく、発言をやめないという姿勢から伺い知ることができる。

 二点目は、沖縄の視点から、日本、さらには世界を考えるという一貫した姿勢である。沖縄の特殊的な歴史体験が、「今」を考える上で必要であること、さらには沖縄の声を「本土」の私たちがどれだけ耳を傾けているだろうか、ということを考えさせる。

 本書は不安定な状況の中で生きる私たちにとって、これからの世界や日本を考える上で参考になる一書である。

 私は「まっ、しょうがなくねェ?」と言わないことを決めた。なぜなら「われわれには沈黙することも、絶望することを赦されない」のだから。今、あの友人に薦めたい本である。
【重要】休刊のお知らせ

最新の書評

  • 『「常識」の研究』の感想(真道哲)2009/12/23
  • 『ディズニー愛』の感想(杉谷友彰)2009/12/22

  • ネットニュース JanJan

    JanJanとは   Q&A   個人情報保護方針   ニュースに関するお問合せ   会社概要

    JanJanに掲載の記事・写真の無断転載を禁じます。全ての内容は著作権法並びに国際条約により保護されています。
    Copyright © 2002-2010 JAN JAN. All rights reserved. No reproduction or republication without written permission.