かつて中国は「中共」、台湾は「国府」と呼ばれていた時代がある。その頃を思うと隔世の感がする。現在の台湾人はなにを考えているのか、この書はかっこうの入門書となるだろう。
筆者:近藤伸二
出版社:凱風社
定価:1800円+税
有事立法は北朝鮮に備えてのものでなく、台湾海峡の有事に備えてのものだろう。日本人にとっても、台湾有事はよそ事ではないのだ。中国の侵攻の可能性を考えねばならぬ台湾人はなにを考えているのか、この書はかっこうの入門書となるだろう。
台湾人は事実上の独立国だが、形式上は中国の一部、といった形をのぞんでいるようだ。そのような形は実利がある。貿易、投資、人の交流で有利なのだ。
かつて中国は「中共」、台湾は「国府」と呼ばれていた時代があった。その頃を思うと隔世の感がする。いまや、「中共」は“中華帝国”、「国府」は普通の国となりつつある。
だが台湾は普通の人びとの住む国だが、普通の国家とはなれきれてない。中国とは完全な他国とはなれず、諸外国とは外交関係を結べず、国際的村八分にあっているかのようだ。台湾指導部と国民の悩みは深いことだろう。議会制民主主義はまだ未成熟のようだが、時間がそれを解決する。
日本としては中国を怖れることなく、交流を広げるべきだろう。台湾侵攻を許さない、とのメッセージも送らねばならない。
この書では台湾の経済力にはほとんど触れられてないが、具体的数字が掲載されていれば台湾の重要性が読者によりよく理解されたと思う。なおどうでもよいことかもしれぬが、台湾の出生率は日本よりも低い。それをどう解釈すべきなのか。台湾の将来に微妙に響く数字かもしれない。